第171章 感応
「―――それはとんでもなく……強くて優しくて……激しい愛し方です、ね………。」
目じりから耳元に向かって流れた涙を、リヴァイさんは優しく指で掬ってくれる。
「――――だが死ぬなよ、生きる気でいろ。当たり前だがな。」
「………っ、は、い………。」
――――どれほどの強い想い。
この腕の中に還ったら、今度こそ――――溶けてしまえるかもしれない。このリヴァイさんの身を焦がすほどの愛情で。
この残酷な世界に生きる私たちだから……今度こそ二度と離れないように、あなたの中に溶けてしまいたい。
――――ねぇエルヴィン。
あなたは私に “君の望むままに” と遺した。
“変化こそが唯一、永遠だ” と遺した。
……それは私たちがこうして傷を埋め合って生きていけるように……だったのかな。
それとも、”都合のいい解釈だな” って、笑うのかな。
いつでもあなたは私の生き方を、培って来た考え方を、存在を……選択を肯定しながら、ほんの少しのヒントをくれる。
――――あぁそうか、私の中のエルヴィンが消えちゃうなんて、ありえないんだ。
だって今、ここに在る私の一部は、確かにエルヴィンが作ってくれたから。
だからこれからもあなたは確実に、私の中に在り続ける。
――――消えたりなんか、しない。
………そして、もう一人の……私の一部を作ってくれた、この強くて優しくて……この上なく不器用な、リヴァイ・アッカーマンという人の手を、とってもいい?
――――あなたが望むのは、私が変わらずあなたに一生を捧げ続けることじゃなく、自分で決めた道を、自分で決めたように、変化しながら強く生きていくことだと……
その中で見つけるあなたへの想いこそが永遠だと……
そう、受け取ってもいい?
「――――都合よくこの腕に還る私は……狡いですね。」
「――――ああ狡いな。だが、賢明だ。俺以上にお前を理解して、愛してる人間はいない。」
「――――リヴァイさん………、エルヴィン………、リヴァイ、さ………。」
どうしよう、無理だ、もう………何一つ取り繕えない。涙を止めることも、強がることも、何一つ。