第170章 不遣雨
「――――お前の髪じゃなく首にクラバットを巻いて兵舎に帰した。その時点で、俺が手を付けたという意味は伝わっていたはずだ。――――そもそもそれが、俺にお前を抱かせることすら、あいつの策だったからな。」
「―――――……え………?」
呆然とした。
――――何を言ってるの………?
「―――――元々俺をあいつの描く “兵士長” 像に創り上げるために、お前を俺につけた。――――……狙い通りの働きをお前はやってのけた。俺はお前にまんまとハマって………人と関わり方を、仲間との関わり方を知った。―――俺が狙い通りの変化を遂げてから、あいつは本腰を入れて自分のものにするためにお前を落としにきただろう?今度は自分の夢と欲求を満たすために。」
「―――――………。」
エルヴィンが………私と、リヴァイさんが関係を持つことを策として……目論んでた?
調査兵団という組織を創り上げるために?
――――リヴァイさんに私をつけたのは、なんとなく、分かってた。リヴァイさんの変化を嬉しそうに私に話してくれた日もあったから。
でもそれは……結果的にそうなったってことで、あくまで私や……リヴァイさんのことを思ってのことだって……そう、信じて………。
何かが音を立てて、崩れるような……そんな感覚だった。
―――――けど。
「――――例えそうでも、確かに私の意志はあった!!!!エルヴィンが私を利用したみたいに、言わないで!!」
「…………!」
私は声を大きくして、叫んだ。
リヴァイさんは、驚いていた。