第170章 不遣雨
「利用されたんじゃない!!私は私の意志で、リヴァイさんを愛して―――――あの日、抱いて欲しいって、私が望んだ……っ……!エルヴィンのことも、私は私の意志で考えて、決めて、リヴァイさんと……っ……さよなら、したんだもん………っ………!」
「――――…………。」
「エルヴィンが私を側に置いてくれたのは、夢と欲求のため、だけじゃない……っ………、私は確かに……、苦しいほど、痛いほど、泣きたいくらいに、愛されてた……っそれに、私も、愛してた………っ………!!!」
「――――ああ、そうだな。」
「――――っ……ぅ、ぅえっ…………。」
両手を張り付けられたまま、涙も拭えず、ただ俯いて……堪えられなかった嗚咽を漏らした。
「――――わかってる。あいつにとっても俺にとってもお前は、想定外だった。――――お前のおかげで、俺とあいつの間に最初にはなかった……厄介だが決して悪くない……そんな妙な感情も、生まれたんだ。――――お前が言った、俺とエルヴィンの “唯一無二の戦友” という関係は、―――――お前が作ってくれたものだ。」
「………っ…う……、っ…………。」
「――――なぁナナ。俺は………唯一無二の戦友の愛した女であっても、お前を諦められない。」
「―――――………。」
「―――――俺のものになれ、もう一度。」
リヴァイさんの手が私の両手首をより力強く掴んで張りつけて―――――……有無を言わさぬ口づけをした。
呼吸を遮り、思考を遮り―――――――………
また私は混沌とした沼に、ただただ堕ちていく。
――――どうやら本当に私は、一度捕まればこの世で最も逃げられない男2人に、捕まってしまったみたいだ――――………。