第169章 涙雨
エルヴィンの手紙の力を借りて心を落ち着かせると、窓の外で神様が怒ってるような雷鳴と雷光がまた目に入って来た。
「――――神様?それとも……エルヴィンが怒ってるの………?」
ゴロゴロ、ドォン、とさっきよりも少し離れた場所から聞こえるその音に身体をびくつかせつつ、ベッドに潜り込む。
「――――誰の手も借りない。私はずっと、こうやってあなたを想って耐える。怖くても、寂しくても……永遠に愛してくれるあなたに、ちゃんと応える………。」
体を丸めて震えながら、小さく呟く。
脳裏にチラつくのは、リヴァイさんの悲し気な顔と……… “エルヴィンの想いを、ワーナーの想いを捻じ曲げるな” と言われた時のあの、怒った顔。
「――――………。」
捻じ曲げてる?ううん、だってエルヴィンは私を “永遠に” 愛してるって……言った。
なら私も永遠に彼のものでいる。
それが当たり前だ。
エルヴィンはそう望んでる。
なにも……間違ってないはず……。
“変化こそが唯一の永遠”
“君の望むままに”
“永遠に愛してる、ナナ”
「――――わからないよ………エルヴィン………。」
恨み言のように呟きながらぐるぐると答えの出ない問を考え続ける、雷鳴轟く夜は―――――……驚くほど、長く感じた。