第2章 変化
「外道!!お嬢様に触るな!!!」
ハルがリヴァイさんの手を払いのけ、私を庇うように覆いかぶさった。
「金はこれでいい。行け。二度とここに来るな。」
リヴァイさんの冷たい言葉。ハルに手を引かれながら、私はもう一度彼の方を振り返った。なぜ。本当に騙したのなら、なぜそんな悲しそうなの?
「………もう大切な人に捨てられるのは、嫌………。」
「お嬢様……?」
ハルの手を振りほどきリヴァイさんに向かって叫んだ。
「あなたのことが、大切なの!!私を守ってくれてたこと、知ってる!」
リヴァイさんは、目を見開いていた。驚いているんだろう。
「私の世界はまだ狭いけどっ………!自由の空の下には、いつかあなたと一緒に行きたいの!!!私には、あなたが必要なの!!」
私の渾身の叫びに、リヴァイさんの顔がわずかに歪み、目線は逸らされた。
「………俺の世界はここだ。お前とは一緒に行けない。日のあたる場所へ帰れ。」
そう言い残し、リヴァイさんは背を向けて行ってしまった。
母が出て行ったあの日、自分の想いを母に伝えることさえしなかった。大切なら、行って欲しくないなら、言葉にしなくては伝わらないんだと思った。
でも、結局私の叫びは届かなかった。