• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第164章 記憶






「――――わかってんだ、俺が口を出すような事じゃないって……。でも、でも……あんなに強くて冷静な……完璧な兵士長をやっていても、あの人の心の奥底には――――いつもお前がいるんだ……!おおげさとかじゃなく、本当に――――……あの人にとって、お前はまだ………とことん愛し抜いてる女なんだよ……!」





「――――………。」





「―――俺はリヴァイ兵長が好きだ。憧れてるし、ずっと側で戦いたい。それと同じくらい……あの人に幸せになって欲しい。―――強すぎるあの人が安らげる場所………それはきっと……お前しかいない。」







サッシュさんがまっすぐに私を見る。

なんて強くて、熱くて………こんなにも部下に愛されるリヴァイさんは、十分幸せ者なんじゃないか、と思ったりもする。

その懸命に紡がれた言葉は私を揺さぶる。



こみ上げるこの感情は、なんなのだろう。

涙を堪えて、笑ってみせる。



だって、どういう顔をしていいか、わからない。








「――――私も、リヴァイ兵士長の幸せを願ってます………。」






「!!だったら……!!」







私だってリヴァイさんを愛してる。

ずっと変わらず……ううん、変えようとしたけれどどうしてもダメだった。





――――でも……エルヴィンの言葉が、声が、体温が、香りが――――まだ鮮明に私の中にあるから。





『逃がしてなんか、やらない。』





最期まであの人は有言実行で。

まるでそう躾けられたように……主人を待ち続けるように………これから晴れ渡る蒼天を見上げる度に、彼に焦がれるのだろう。





そう………、私の中には――――…




彼が私に盛り続けた……………甘やかで魅惑的で中毒性のある、甘美な毒がまだはっきりと、残ってる。




/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp