第164章 記憶
次々に巨人に変えられていく同志。
親を裏切るような息子を育てた、と――――……最後に父さんに最大限の罵声を浴びせた後………治安当局の男の娯楽として巨人に生きたまま食われる羽目になった同志。
そして―――――………
『――――グリシャ……私は……どんな姿になっても………あなたを探し出すから………。』
涙ながらに最期の言葉を遺したダイナ。
――――それは愛の言葉だったのか………はたまた――――………愛ゆえの執念に近い呪いの言葉か………。
夢が途切れるその瞬間、目にした巨人は―――――………
「ダイナァアアアアアア!!!!!」
俺は泣き叫びながら飛び起きた。
懲罰房の見張りをしていたアルミンも、隣の独房のミカサも起こしてしまうほどの大声で。
「――――これは……夢じゃない……記憶だ……!父さんの記憶と繋がった………あれは……お前だったんだな………!」
――――探し出したんだな、本当に……。
今でも忘れるはずがない、母さんを食った――――――巨人。
俺達を見つけて、にたりと笑ったあの顔は―――――……愛しい男が自分以外に愛した女とその息子を見つけた、笑みだったのかもしれない……。
「―――――ダイナ………!」
――――長い長い夢……いや、記憶だった。
凄惨で、強烈で、なんの救いもない………憎しみの連鎖。
それが今、俺の中に引き継がれている。
荒ぶる呼吸を何とか抑えながら、アルミンに話した。
アルミンはそれを漏れなく書き留める。
――――全て記さなければならない。
俺が、父さんが知りうること全てを―――――……。
そうやって地獄を見ながら、血を流しながら……
闘い、苦しみもがいた末に俺達はようやくたどり着けるはずだ。
本当の自由に………。