第164章 記憶
――――その日からジークへの干渉は比べ物にならないほど厳しく、過酷なものになった。
父さんの目で見た記憶なのだろう、けど見て、感じているのは今は俺だ。
だから気付いた。
でも本人は……父さんは……ジークを自分の思う役割を全うする者に育てようと必死だった。
……だから気付けなかったんだ。
ジークのこの表情は………いつか父さんが………妹を殺されてもマーレに媚びる父親を見て抱いたあの時と同じ……
“絶望”からくる表情じゃないか。
――――ジークが7つになったある日、ジークはマーレ当局に……父さんとダイナ、エルディア復権派そのものを――――告発した。
――――ジークを非道だと思うか?
いや……彼は……自分を器としてしか見ていない両親に、絶望したんだ。
そして……自分をちゃんと一人の人間として見て接して……心配してくれた人のために―――――、両親を見限った。
彼には彼の……信じるものがあったんだ。
果てしない拷問の末――――………エルディア復権派は全員“楽園送り”になった。
“楽園”とは……巨人の脊髄液を摂取すれば巨人になるというエルディア人にしかない性質を利用し、パラディ島へ送って――――……知性のない巨人に変え、人を喰らう化け物として永遠に彷徨い続けるという悲惨なものだった。