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【進撃の巨人】片翼のきみと

第164章 記憶




特にすることもないから、少しでも身体を休めるために早く眠りにつく。



眠りに落ちたと思った途端、意識が現世から別の世界へ移ったみたいに―――――、あまりにもリアルな夢を見た。

それは父さんの遺した手記を読んだからなのか……それにしてはあり得ない……――――俺は見たこともないはずの異国の地の街並みや自動で地を走る乗り物、更には空を飛ぶ乗り物や――――……“写真”と書かれたあの紙が、どんな機会から生み出されるのか……

それまでが鮮明に、まるで――――父さんの目から見たものを全て見せられているような、そんな気持ちの悪い夢だった。



そしてその夢はそんな違和感だけではない、胸糞悪い地獄のような物語だった。







遥か昔、俺達の始祖であるユミル・フリッツが大地の悪魔と契約し、巨人の力を得た。

最初こそその力を自国の民を豊かにするために使っていたが――――……やがてユミルが死ぬと、その力を9つの巨人の力に分散させ……その力を以って他国に攻め入り、大国マーレを滅ぼし支配した。



巨人になりうる力を持つユミルの民……つまり俺たちは“エルディア人”と呼ばれ、その特殊な力で世界を制圧、子孫を増やし続ける民族浄化をおこなってきたそうだ。

――――そして転機はやってきた。



増幅し続けたエルディアは……マーレ残党の画策により内部分裂。



9つの巨人の力を使い争い合う内戦を繰り返した末に……





――――――――滅びた。







全ての巨人を操ることができる”始祖の巨人”を継承しながらも、争うことを憂いた145代目エルディアの王、フリッツ王は――――……一部の民を引き連れ、俺達のこの島、パラディ島に巨人の壁を作って閉じこもり――――……連れて来た民の記憶を奪い、“偽りの平和”を信じさせて――――……ここまで来た。




その王の末裔が……ヒストリアだ。




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