• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第164章 記憶





「――――優しい子、エレン。私は大丈夫………。」



「――――っ……ナナ………!」



「――――ね?大丈夫。だからほら、ごはん食べて、いい子にしててね?」



「ガキ扱いすんなよ!!」





ナナの腕を思わず振りほどくと、そうするのを待ってた、と言いそうな顔でナナはまた小さく笑った。





「……ふふ。」





ナナが俺の独房を出て、アルミンが鍵をかける。

そのアルミンにも、ナナが声をかけた。






「――――アルミン、さっきは……ありがとう……。」



「―――えっ、いえ……、僕は……むしろ………。」






言い淀んで目を伏せるアルミンを、目を細めて切なそうに見つめて――――ナナは言った。









「あなたが生きて帰って来てくれて、嬉しい。アルミン。」









ナナのその言葉に、アルミンが目を見開いて制止し、ゆっくりとナナの目に視線を合わせた。





「――――おかえり。」



「………ナナ、さん………。」





アルミンが込み上げる涙を手の甲で拭いながら、また深く俯いて……ナナはその頭を、よしよしと撫でた。

そしてナナが俺の隣の独房のミカサの方に目をやった。





「あ、ミカサの食事もとって来るね、ちょっと待ってて。」



「――――うん………。」






ナナはそう言ってまた、階段を上って行った。



火葬の時にあんなに乱れていたナナが………もうずいぶんいつものナナだ。






―――――あの怪我と言い、一体何があったのだろう。






ぼんやりナナの事を思いながら、夕食をとった。





/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp