第163章 相殺
ボタンを止めて、全く違和感のないサイズ感で、頭を下げて御礼を言う。
「ちょうどいいです。ありがとうございます。」
「――――ちょうど良くねぇだろ。」
「え?」
「――――わずかにでかいはずだ。」
「………そう、ですか……?」
そんなことないんじゃ……と、袖丈や身頃の丈を確認してみるけど、違和感ないくらいぴったりだ。リヴァイさんの発言の意図がよくわからないまま彼の方を見ると、なぜかちょっと不機嫌そうだ。
「…………?」
不機嫌の理由がわからなくてきょとんとしていると、リヴァイさんが口を開いた。
「――――定期診療はいつ行く。」
「――――あ……近々行かなくては、いけなくて……。」
「――――俺も行く。」
「えっ。」
「えっ、ってなんだ。嫌なのか。」
「いや、嫌じゃないです……!が、わざわざ兵士長のお手を煩わせるほどのことでは………。」
「――――俺がお前の側にいたい。」
その言葉に驚いた。
調査兵団で一緒に過ごすようになって随分時が経ったけど………その言葉を、リヴァイさんから初めて―――――聞いた。
堪えきれない愛しさが込み上げて、私は―――――小さく笑った。
「―――――はい………。ありがとうございます……、嬉しい、です………。」