第162章 葬送
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エルヴィンの身体を燃やしていく炎を見上げながら、何度も振り返りながらその場を後にした。
立ち上がるその煙が、まるで空に羽ばたく翼のようで――――……
私を置いて行ってしまうの?と何度も……心の中で恨み言を言った。
――――辛いのは私だけじゃない。私が立ち止まって振り返る度に足を止めてくれたハンジさんとリヴァイ兵士長にちゃんと並ばなきゃと思いながら、ぐらりと揺れる視界に耐え、力の入らない足をなんとか動かした。
ハンジさんとリヴァイ兵士長と同じ馬車に揺られながら、トロスト区の兵舎へ戻る。誰も一言も発せず――――……ただただ窓から空を眺めていた。
きっとあの蒼天に、彼の瞳の色を重ねていたんだ。
郊外の静かな風だけが吹き込んでくる窓から、がやがやと人で賑わう喧騒が聞こえるようになってきた。
やがてガラガラガラと車輪が石畳を鳴らす音が止んだ。
「―――あぁそうだリヴァイ。」
「あ?」
「報告内容のまとめは私がやり始めてるから心配しないで。」
「……ああ。そうかよ。」
2人が少しのやりとりをしたと思ったら、リヴァイ兵士長が私を見た。
「―――ナナ。」
「……はい………。」
「このあと、少し身体を休めてからでいい。俺の部屋に紅茶を淹れに来い。」
「――――え……?」
「命令だ。いいな。――――俺は喉が渇いてる。」