第162章 葬送
燃え上がる炎を見届け、女王を始め兵団幹部はその場を立ちさるため、それぞれが馬車に乗り込んだ。
ナナさんはずっと座り込んだまま、抜け殻のようにその炎を見続けている。
ハンジ団長がなんとも言えない辛そうな表情をして、馬車に乗り込む前にナナさんの元に歩み寄ってその肩を抱いた。リヴァイ兵長もまた、遠くから腕を組んでそれを見ていた。
「――――ナナ……。体は朽ちても――――……私たちがエルヴィンも、みんなのことも、忘れないでしょう?ずっといる、心の中に。だから大丈夫。目を閉じたら……いつでも会えるよ。」
「――――………。」
ハンジ団長が優しくナナさんの頭を撫でると、ナナさんは子どものように顔をしかめて、堪えきれない悲しみを涙とともにまた、流した。
「――――そういえば……エルヴィンのループタイ、残しておかなくて良かったの?………ナナになら、エルヴィンはあの調査兵団団長の象徴ですら、あげちゃいそうだね。」
炎を見つめながらハンジ団長が問うと、ナナさんはゆっくりと首を横に振った。
「――――そうか。まぁでも奴のことだ。用意周到に……きっとナナに何かを遺してるよきっと。――――ナナの身体と心が落ち着いたら、エルヴィンの部屋の整理を――――頼んでもいいかな?」
「――――は……い………。」
「――――ありがとうナナ……。ほら立って。行こう。」
ハンジ団長に支えられて、よろめく足でナナさんはなんとか立ち上がった。
まったく力の入らない足でふらふらと……でもちゃんと自分の足で、エルヴィン団長に背を向けて歩き出した。リヴァイ兵長がナナさんに歩み寄って小さく声をかけるとナナさんは小さくこくりと頷いて、3人はそのまま馬車に乗り込んでいった。