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【進撃の巨人】片翼のきみと

第162章 葬送




そう言い残すと、リヴァイ兵士長は先に馬車を降りて兵舎の方へ消えた。

あぁそうか、今は兵士長だから……甘やかすことも、過保護に私に構うこともしないのか。私の心が弱っているんだと思った。





遠のいて小さくなっていく自由の翼を見るのが――――寂しいなんて。





その背中を見送ってきゅ、と唇を無意識に噛んでいた私の頭をハンジさんがぽんぽんと撫でてくれた。





「――――わっかりにくいねぇ。」



「………はい………。」



「――――喉が渇いてるってさ。早く来いって。」



「――――はい………。」



「――――リヴァイも何も思ってないはずがない。リヴァイもまた――――……ナナだけなんだよ、その内側を……弱さを、晒せるとしたら。」





――――私は私のことばかりで。

エルヴィンが死んだ、その事実から目を背けることしかできなくて……支えて、寄り添ってくれる人に甘えて………、リヴァイさんの心の内を、ちゃんと……聞いていない。

ちゃんと、聞かなきゃ。

――――だって、片翼を失ってすぐに、何事も無かったかのように羽ばたけるはずがない。



きっと―――――……すごく、痛いはずだから。








「――――私で、いいの、でしょうか……?」







私の言葉に、ハンジさんが目を丸くして驚いた表情を見せた後に、ふっと笑った。







「――――それはリヴァイに直接聞いてごらん?」






「―――――………。」








私はハンジさんの深いブラウンの瞳を見つめて、頷いた。

時折ふらつく。

でも、ちゃんと自分の足でリヴァイさんの元へ―――――急いだ。



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