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【進撃の巨人】片翼のきみと

第162章 葬送




その日の正午過ぎ。



ここトロスト区でエルヴィン団長の葬送の儀は行われた。

王都ではなくトロスト区で行われたのは、帰還した調査兵団の王都までの移動という負担を無くすためと、エレンが岩で穴を塞いだ、人類が初めて巨人に反旗を翻したその象徴の街こそが、調査兵団の英雄たちを讃える場に相応しいという理由だった。



―――――もちろんすべての兵士達の亡骸はここになくても、勇敢に散っていった数多くの兵士達とともに死を悼み、安らかな眠りを祈る。

女王陛下が膝をついて彼らに敬意を払い、民衆と共に――――長い黙祷をした。





人類が初めて巨人から領土を奪い返した歴史の新たな一ページとして、石碑には彼らの名前が残されることになった。

―――――私はただその儀式を、遠巻きに――――見ていた。





儀式が終わると、エルヴィンの棺は街から手厚く運び出され、郊外の穏やかな丘陵で、火葬される。

それを見送るのは、生き残った13人の調査兵団と兵団幹部、ヒストリア女王だ。

ヒストリア女王は、涙を堪えていた。




そして――――、ザックレー総統もピクシス司令も……ナイル師団長も………ただ静かに、その棺に火が放たれるところを見ていた。



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