• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第161章 劣情







「――――この………花………。」






私はその中の一本を手にとった。



私の誕生日に……エルヴィンが野で摘んで、私の髪に挿してくれた――――クローバーの花。

小さい頃……四葉のクローバーを探して、よく……遊んだ。




敬礼するように胸の上に置かれたエルヴィンの手に、クローバーの花を持たせるように置いてみる。









「―――――っ………今度は……私が……いくらでも、摘んで……来る、から……っ………!」









『こうやって花の”命“を手折って君に与えたら―――――』









そう言って私を撫でたエルヴィンが、目の前に鮮明に蘇る。









「――――逝、かない……で………っ………!」









まったく受け入れられない。

目の前に、もう息をしていないエルヴィンを見ても。



なんとかすれば、目を開けて微笑んでくれるんじゃないかって……いつもの、悪戯な顔で――――『嘘だよ。』って………『君を置いて行くわけないだろう?』って………抱き締めてくれるんじゃないかって……諦められない。










「―――――ぁあぁぁぁぁぁああっ………………。」











私は棺に、しがみついて―――――泣いた。








/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp