第14章 疎通 ※
「お前、状況わかってんのか?仕方のない状況だったとはいえ、男と一つの部屋にいるんだぞ。それ以上誘うなら、犯されても文句言えねぇ――――――――」
その時、ナナの唇が重ねられていた。
固く閉じられた瞼が目の前にある。
俺の唇を啄むように、拙いながらも何度も唇を重ねてくる。
無抵抗でされるがままにしてみると、唇は離され、俺の頬がナナの両手で包まれた。
「ずっと………こうしたかった!!!」
思いもしなかったその言葉に、毒気を抜かれる。
「リヴァイさんに………出会ってから……っ……わからない感情ばっかりで………!どう言っていいのか、今もわからないけど………。あなたの瞳に、映りたい。『ナナ』って、呼んで欲しい。……あなたに、触れたい……!側に………いたい……!」
ナナは俺の耳の後ろに顔を埋めると、震える声で続けた。
「明日も生きていられるかなんて……わからないんだって………アルルが教えてくれました。だから、後悔しないように、伝えたいんです………。」
もう、何も考えられなかった。
欲した女が、同じように俺の事を想っている。
それが、こんなにも、狂おしいほど嬉しいことだということを、生まれて初めて知った。
触れても、いいのか。
地下街から焦がれた太陽のようなお前に。
俺はナナをベッドに組み敷いて覆いかぶさった。
「あのっ……だから、その……答えを……――――――――。」
その言葉の途中で、俺はナナに口付けた。
角度を変え、この胸の内を伝えるように。
ナナは驚いて身体をこわばらせたが、言葉より先に理解したのか、唇を離す頃にはおずおずと俺の背中に腕を回していた。
「―――――――俺もだ。ずっと、こうしたかった。」