第160章 虚無
朝日が顔を出す直前。
星々が夜空を去り、辺りが白み始めたその時―――――、地平線の向こうから、待ち望んだ彼らの姿が目に飛び込んで来た。
「―――――帰って………っ来た………っ………!」
「――――調査兵団帰還!!!調査兵団―――――帰還!!!!」
彼らの凱旋が大きな声で伝達される。
即座にリフトが降ろされ、朝日が昇って活動を再開する巨人たちから彼らを守るために、駐屯兵団の部隊が援護に出た。
まだ安心はできない。
本当なら……ここに上がってくるまで、見届けていたいけど……、私にはやることがあるから。
私は壁の下に降りて、これから戻るであろう負傷者を受け入れる準備を始めた。
――――会える、やっと。
やっと……言える。
おかえりなさいって。
結果なんて二の次でいいの。
早く会いたい、あなた達に―――――、愛する、彼らに。
壁下では、調査兵団の帰還を聞きつけた民衆が押し寄せていた。――――やがてせわしなくリフトが上下し、私が見上げる壁上に――――、深緑色のマントをなびかせた英雄たちが現れた。
そして作戦の成功が告げられた。
「ウォール・マリア奪還!!!成功!!!調査兵団、帰還!!!!!」
昇った朝日に照らされた街は輝き、その光を浴びた民衆は大きな歓声を上げた。
「うわぁぁあああああ!!!やったぁあぁぁぁあああ!!!!」