第159章 地下室
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「……ぼ、僕が……エルヴィン団長の……代わりをですか?……そんな……バカなことが……。」
アルミンのあまりの動揺と困惑、重責への恐怖の表情に、アルミンを呼び戻したことに罪悪感を感じるエレンとミカサが目を伏せた。
ああ、そうだろう……いち新兵に“明日から団長の代わりを務めろ”なんて言われて、はいと言える奴なんていない。
――――だが、俺はエルヴィンの代わりにするためにアルミンを選んだわけじゃない。
「勘違いするな。お前じゃエルヴィンの代わりにはなれねぇ。」
――――そうだ、ナナがエレンに……キース教官に……かけていた言葉も、それに近しいものだったな。
なんて言えばうまく伝わるのかは……わからねぇが……。
「―――お前はお前だ。」
アルミンは俺の言葉に、僅かに目線を上げた。
「お前はお前の……人には無い力を持ってる。」
ただお前はお前らしく、精一杯、生きればいいと―――――、どう言えば伝わる?
「――――いいか?誰も後悔させるな。俺も……こいつらも。――――誰も……お前自身も。後悔させるな。それがお前の使命だ。」
この命の選択を、受け入れられない奴はいる。
――――フロックもその一人だ。
兵団に帰ってもそうだろう、特に兵団幹部は……エルヴィンという優秀な人材を失うほど、このアルミンに価値があったのかとあからさまに問うだろう。
――――だから証明するしかない。
誰も後悔させないよう、お前自身の力で。
「―――私もエルヴィンの後任の調査兵団団長としては、君と似たような立場だ。こうなればお互い腹を括るしかない。」
「――――はい……。」
「――――さて……アルミンも問題ないなら、そろそろ行こうか。私とリヴァイ、エレンとミカサで調査に向かう。他のみんなはシガンシナ区壁上で四方から見張ってくれ。――――エレン。鍵はなくしてないかい?」
――――いよいよか。エレンは首から下げたその真実への鍵を、ぎゅっと握り締めた。
「はい。ここに。」