第159章 地下室
「………それじゃあわかりません。団長が死んでいいわけがない。エルヴィン団長がもういないなんて……僕達は……この先どうすれば……。」
「私も、エルヴィンに打つべきだと思ったよ。――――しかしエルヴィンが注射を託したのはリヴァイであり、そのリヴァイは君を選んだ。それならもう何も言うまい。」
いつになく厳しいハンジ分隊長の言葉。
ハンジ分隊長は僕がエルヴィン団長の分まで人類に貢献できると……本当に思っているのか……?なんで、なんで僕なんだ……?
「かくして君には、エルヴィンの命と巨人の力が託された。誰になんと言われようと君はもうそういう存在だ。より一層の人類への貢献に期待するよ。アルミン。」
――――体が震える。
まだ、その重責を実際に担ってもいないのに。想像するだけで―――――押し潰されそうだ。
エルヴィン団長はこんな重いプレッシャーの中で、あんなにも凛と――――僕たちを率いていたのか。
それにエレンも……巨人の力を持っているというそのプレッシャーと、どれだけ戦ってきたのだろう。
―――――僕の心臓は、もう既に……その両方の負荷で、潰れてしまいそうだ。エレンとミカサが、僕を信じて――――生き返る事を望んでくれたのは嬉しい。―――――でも、そんな価値が僕にあるのか?エルヴィン団長を犠牲にしてまで、僕が生きる意味が―――――……。
それに、僕の脳裏に浮かんだのは……あの日見た、ナナさんとエルヴィン団長の仲睦まじい幸せそうな――――信じあっていることがわかる2人。
僕のせいでエルヴィン団長が死んだとなれば―――――……ナナさんは……どう思う?
僕はナナさんの言葉に少なからず勇気をもらったのに。
それを返せないどころか……
大事な人を―――――僕が、奪った。