第159章 地下室
「どうして……僕なんですか?――――誰がどう考えたって……エルヴィン団長を生き返らせるべきじゃないですか?!」
注射器の使用の決定権は兵長にある。
僕は兵長に詰め寄った。
「兵長?!どうして僕に打ったんですか?!」
「――――ちっ……。」
兵長は心底面倒だという顔をして舌打ちをしながら、エレンを軽く蹴った。
「ありのまま話せと言っただろうがエレン。――――アルミン、お前のこの仲良し二人が、エルヴィンに打とうとした俺に抵抗し刃傷沙汰に及ぶほど――――……お前を生かすことを強く抗議した。」
「――――え……?」
「……お、俺達はどんな処罰も受けます……!」
目線と肩を落とすエレンとミカサに、ハンジ分隊長は厳しい言葉をかけた。
「当然兵規違反の罰は受けてもらうが、罰さえ受ければ何をしてもいいのかい?」
「………いいえ。」
エレンとミカサが激しく抵抗したのはどうやら事実らしい。上官の―――――兵士長の判断に背き、ミカサに至っては力を行使したことはもちろん罰するべきことだ……。
でも、いくら2人が抵抗したからといって……兵長はなぜ……。
その疑問に答えるように、兵長が口を開いた。
「――――だがな。最終的にお前を選んだのは俺だ。いや……俺の私情でエルヴィンの死に場所をここに決めちまったんだ。」
――――兵長の私情?
それはなんだ……兵長と団長にしかわからない、何か……?
例えば……ナナさんのことも関係しているのか……?
だとしても、僕には納得ができない。