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【進撃の巨人】片翼のきみと

第159章 地下室




なんとか力を振り絞って、折れたあばらの痛みに耐えながら上半身を起こした。目に飛び込んで来たのは、全力で駆けて来る―――――弟だ。

あぁそうだ、いつだってお前は……こうやって俺を追って来ていた。



アーチはまるで失速しないまま、目に涙を溜めて―――――そのまま俺に、飛びついた。



感動の兄弟の対面ってやつ―――――だが、




「――――いってぇええええよ!!!」



「あっ、ごめん!!!っ、いてぇ!!なにすんだよ!!」




あまりの痛さに、弟の頭を思いっきり頭突いた。




「た、助けに来てやったんだぞ?!」



「全身あちこち折れてんだよ!!!察しろ!!馬鹿野郎!!」




悪態をついてみたものの、アーチがあまりに……歳相応の顔をするから――――、俺は嬉しかった。

アーチは俺の側に座り込んで、俯いたまま小さな声で、安堵の言葉を漏らした。




「………生きてて……良かった……!」


「――――誰がお前を残して死ぬかよ、俺はお前の兄貴だぞ?」


「――――うん………。」




どうにか動く左手で弟の頭をわしわしと撫でると、俯いたアーチが一粒涙を零した。

――――が、お年頃だからな。

見なかったことにしてやるよ。




「――――早く戻らねぇと……アーチ、肩貸せ。」


「ああ。つかまって。」





俺はなんとかアーチに肩を借りながら、やっとのことでみんなのいる壁上まで戻った。


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