第158章 ウォール・マリア最終奪還作戦⑤
「――――先生………に……いないって……、……やって……調べたんですか?」
「………エルヴィン……?」
その目はうっすらと開いているが虚ろで、荒い呼吸の中で……ガキの頃の夢の発端を――――口にした。
――――あの時、俺が夢を諦めて死んでくれと……命の選択を突き付けた時………エルヴィンは今まで見たことが無いほど嬉しそうに、穏やかに笑って言った。
『リヴァイ……ありがとう。』
ケニーが死にゆく前に注射器を俺に託して笑った、それと重なる。今まで背負ってきたその重責から、苦しみから――――解き放たれる時の、安堵の笑みだ。
俺はそれを受け取った。
獣を仕留め、人類の存続を諦めないことを。
――――ナナのこれからを。
エルヴィンは覚悟の上で俺に託したんだ。
そうだ、俺はこの男を悔しいがこの世で最も信じてる。
――――だから……最期までお前の判断を信じよう。
「――――エルヴィン。よく戦った。安心して休め。お前の夢の続きは――――……俺達が明らかにしてみせる。」
エルヴィンは俺の声が聞こえたのか聞こえていないのか――――……僅かに口角を上げたように見えた。
底意地の悪いこいつのことだ。
『また厄介事を背負い込んで……大変だな、兵士長?』とでも――――……言ったんだろう。