第158章 ウォール・マリア最終奪還作戦⑤
注射を打ったアルミンは―――――、想定通り巨人化し、そこに転がっていたベルトルトを当たり前のように―――――食った。
この期に及んで、食われる直前に意識を取り戻したベルトルトが104期の面々に『助けて』と喚いたが―――――、そんなことに応じられるわけもなく、同期が同期を食うというこれもまた地獄絵図を……エレンたちは涙ながらに、見ていた。
「………兵長……どうしてですか……?」
納得いかないという様子でフロックが、怒りに震える。
「………こいつを……赦してやってくれないか?こいつは悪魔になるしかなかった。それを望んだのは俺達だ……。その上……一度は地獄から解放されたこいつを……再び地獄に呼び戻そうとした……お前と同じだ。――――だがもう……休ませてやらねぇと……。」
横たわるエルヴィンの、苦しそうな呼吸はいつの間にか安らかに変わっていて………、遠くで、ベルトルトを食ったアルミンが人に戻ったのか、巨人はいなくなっていた。
「エルヴィン……獣を仕留める約束だが……まだ先になりそうだ。」
ハンジが慈しむようにエルヴィンの頬に手を寄せる。
――――俺とは比にならないほどの付き合いだ。
――――どれほど、辛いだろう。
「――――もう、死んだよ。」
「………そうか。」
―――――エルヴィン。
お前の生きた意味は、俺達が継いでいく。
――――お前が守りたかったものも――――
……俺が、必ず―――――………