第158章 ウォール・マリア最終奪還作戦⑤
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やった。
ミカサが……ジャンが、コニーが、サシャが……鎧を……ライナーを巨人の中から引きずり出した。
だが安心できない。
ミカサが弾きだしたライナーの身体を押さえつけて、その四肢を切断する。
――――それはきっとこの子達には、あまりに酷だろう。
訓練兵時代を一緒に乗り越えて来た元同期だ。いくら死線を交えているとはいえ、無抵抗なライナーの四肢を切断する……苦痛にもがく姿に耐えらないはずだ。
ぐったりと横たわるライナーを押さえつけて、みんなの方に目を向けた。
「―――――みんなは耳を塞いで、体を休めてな。―――――私がやる。」
ミカサも、ジャンもコニーも……今にも泣き出しそうな顔で、唇を噛みしめて俯いた。
誰一人耳を塞ごうとしなかったのは―――――彼らの覚悟だろう。
………さて、私も決していたぶる事が好きなわけじゃないんだが。
それでも……今さら泣き事は言わない。
私はエルヴィンから時期団長の役目を引き継ぐことになる。
それに言われたな、そう言えば………あのクソじじぃに。サネスに……こういう役は回ってくるんだと。頑張れよと。
――――言われなくても頑張るさ。
私たちが預かった心臓のためにも………こんなところで立ち止まっていられない。
―――――ねぇそうだろう?
………モブリット………。
一瞬空を仰いで、ライナーを足で踏みつけて抑え込む。
高く振り上げた刃を振り下ろそうとした時、ライナーが右手で胸ポケットを探った。
「――――ッなんだ……?!」
させるか。
なにか妙な事をする前に腕を――――――切り落としてやる。刃を振り下ろして、僅かに骨を断つのに更に力を込める。
「がっ……、ぁああぁぁあああっっ!!!」
ライナーは発狂したようにもがいた。そして――――その胸ポケットから何かを取り出す前に、腕は切断された。