第157章 ウォール・マリア最終奪還作戦④
「――――いつかあの人の力になると決めた。あの人はまた、俺達を引き上げてくれる………。――――リヴァイ兵士長…………!」
リヴァイ兵士長。
中央憲兵の中でも噂はよく聞いた。
特に隊長が……気にしていたな。
人類最強という呼び声も高い。
……が、どう足掻いたって人類があんなべらぼうな巨人に勝てるわけがない。こんなにも心酔されて、本人ははた迷惑なんじゃないか……と、バリスさんの見つめる方向に俺も目をやった。
―――――と、その時。
「――――なに……?!」
突然、獣の巨人が地に伏した。
そして―――――まもなく蒸気と共に、その姿を―――――消した。
「―――――やったのか?!獣の巨人が消えたぞ……!!」
「――――本当だ……!合図は……まだないが……、物資を届けに、動きますか……?」
獣をやったなら、超大型のほうに俺達も加勢できるかもしれない。シガンシナ区の壁上までの移動をバリスさんに持ち掛けるが、バリスさんは唇を噛んで耐えるように言った。
「いや………獣を倒したとしても、シガンシナ区内のあの超大型をなんとかしない限り……せっかく物資を補給したところで一掃される。それだけは避けなくてはならない。――――団長からも言われただろう。」
『辛い立場になるかもしれない。仲間が死にゆくところに、なにもせず、ただ見守る立場だ。だが――――感情に駆られて早計に動くな。確実に敵を仕留めた所を見計らって接近せよ。――――死闘を尽くして戦った我々が、生きて還るために必要な命綱を君たちに預ける。』
「――――はい。」
信じてるんだな、団長と兵士長を。心から。
―――――まぁそうだな……悪くない。
辛い立場になるだろうと言ってくれるのだから。
――――俺が……女を使って標的を貶めるなんてクズのような作戦を立てて手を汚しても、叱るどころか褒め称えるような組織よりは―――――……よっぽど。