第157章 ウォール・マリア最終奪還作戦④
「なっ………!?」
――――一声で、すべての巨人を操りやがる。
俺には目もくれず、大型の巨人たちは一斉に兵長の方へ駆け出した。巨人たちが俺とその獣の巨人の奴の間を通り過ぎる中で―――――……俺は確かに、奴と目が合った。
「―――――こんなところにもいやがったのか……ちっ……、本当に無謀で馬鹿な奴ら……救いようがないな。」
―――――なんだ?
何かを言いやがったが、巨人共の足音で掻き消されて、俺には何も聞こえなかった。
――――イチかバチか、仕掛けるか。
こいつを今ここで殺すに越したことはねぇはずだ。
刃を構えて四足歩行の巨人へとガスを吹かせようと動くと、まるでもう戦う意味はないとでも言うように、その四足歩行の巨人と獣の巨人の野郎は俺に背を向けて、足早にシガンシナ区の方へ駆けて行った。
「――――くそっ……!!」
逃げやがった。ならとにかく兵長を助けに行かねぇと。
さすがにこの数を一人では無理だ。
俺は最後尾ののろまの巨人の背中にアンカーを刺してその背に取りつき、兵長の元に群がる巨人群へと斬り込んだ。