第157章 ウォール・マリア最終奪還作戦④
引きずり出した後に、すぐに巨人化できねぇように―――――、あらゆる部位を破壊しておく。
回復に手いっぱいなうちは、巨人化できねぇはずだ。
獣が項を庇おうとしたもう片方の手も細切れに切り裂いて―――――項に斬撃を入れる。
―――――ご対面だ。
ようやくな。
項から噴き出る激しい蒸気と共に、両手足を削がれた状態の髭面の男が現れた。すかさずその口に刃をねじ込み、抵抗できないように抑え込む。
「――――巨人化直後……体を激しく損傷し回復に手一杯なうちは巨人化できない。そうだったよな?」
その面を見るだけで―――――沸き上がる殺意。
殺してやりたい。
あいつらが苦しんだ分以上の苦痛を味合わせて。
その怒りから、腕に力が入る。
口の中から、奴の右目にかけてを刃で貫いた。
「おい……返事をしろよ、失礼な奴だな……。」
今すぐぶっ殺してやりてぇが―――――……こいつはまだ、殺せない。
誰か……生きてる奴はいねぇのか?
瀕死でもいい。
まだ息さえあれば……俺の持つ注射を使って巨人にする。
そいつにこいつを食わせて“獣の巨人”の力を奪う―――――……。
誰か……1人だけ……生き返らせることができる。
――――……エルヴィンの……息さえまだ、あれば………。
俺がそう僅かな望みを持って、死体が散らばる平野に目をやった瞬間―――――、背後に気配を感じた。
「?!?!ッ」
咄嗟の奇襲は避けた。
――――が、四足歩行の巨人が……髭面の獣の巨人の男を、その口に咥えて連れ去った。
「――――オイ……どこに行く。止まれ……まだお前には用が……。」
――――去り際に髭面が血を吐きながら叫んだ。
「お前ら!!!あいつを殺せ!!!」
その瞬間、さっきまで突っ立っていた無数の大型巨人が―――――俺の方にグルン、と顔を向けて、集まって来る。地響きがするほどの足音の中、俺は両手の刃を新しく付け替えた。
―――――こいつら全員、ぶっ殺すために。
「……待てよ……俺はあいつに誓ったんだ……。必ずお前を殺すと………。――――ナナの元に、帰ると………俺は―――――誓った!!!!」