第157章 ウォール・マリア最終奪還作戦④
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3体目を葬った時だった。
横目に―――――エルヴィンが被弾して、馬もろともに崩れ落ちたのを見た。
「―――――ッ……くそっ……、――――エルヴィン…ッ………!!」
――――動揺するな。
俺がやることは一つ。
あの―――――楽しそうに俺の仲間をぶっ殺しやがった―――――……エルヴィンを、殺しやがったあのクソ野郎を八つ裂きにすることだけを考える。
――――なぁナナ。
お前はいつか俺に『信じるものが違えば血が流れる』と言った。だから『そう簡単に憎めない』と。
それだけはやはり俺には理解できない。
巨人どもが何を信じていようと、何に苦しんでいようと、知ったことか。――――俺の仲間を、大事な奴らを蹂躙した奴は、絶対に殺してやる。――――それが俺がこの力を持つ、一つの意味だ。
投石をなんとかかいくぐって、恐怖を押しのけてまた獣の巨人に向かって駆けていく奴らを―――――……まるであざ笑うかのように、楽しんででもいるかのように、更に投石を浴びせやがった。
―――――随分と……楽しそうじゃねぇか………。
その怒りと憎しみを糧にひたすらに巨人の項を削ぎまくる。
東側にはサッシュが同様に、順調に巨人共をぶっ殺しているのが目に入る。
――――強くなったな、あいつ……。
獣の投石が俺の仲間を、街を、大地を蹂躙して―――――血しぶきの混じった砂煙が舞い上がる。
―――――好都合だ。
お前が立てた血しぶきと砂埃で視界を奪われている隙に、俺がお前を―――――狩ってやる。砂埃と、巨人共が蒸発する蒸気に紛れて――――ついに獣にまで辿り着き、アンカーを放つ。
俺に気付いた。
―――――だが、もう遅い。
「――――生まれてきたことすら後悔させて、殺してやる。」
気持ち悪ぃ面が、淀んだ目が、俺を捕らえた。
「オオオオォォォォォ!!」