第157章 ウォール・マリア最終奪還作戦④
――――あまりにモーションをデカくしちまって、巨人が動いたら獣の巨人にバレる。忍び寄って………一撃で葬る。それが一番望ましい。
――――獣の巨人に操られているのか、幸いこっちから斬りかからねぇ限り、俊敏に動いて襲ってくる様子じゃない。
―――――やれるはずだ。俺なら。
それに、ガスも刃も限りある中でこの数だ。
節約していかねぇと……ガスはふかし過ぎない。
あぁそういや、昔リヴァイ兵長に怒られたっけ。
――――そう、ナナにちょっかい出したから……柄にもなく牽制してきたんだったな、あの人。あの一件まで……リヴァイ兵長は誰ともつるまず、誰とも相容れず、話してみたいけどなんとなく怖い、そんな人だと思ってた。
――――それが今はどうだ、己惚れかもしれないけど………兵士の中でも特に俺とリンファに目をかけてくれていたと思う。
――――だから俺はここまで、来れたんだ。
「――――あんたの役に立ちたい。同じものを見たい。肩を―――――並べたいんだ。本当のあんたの片翼に―――――俺はなりたい。」
ワイヤーを巻き取りながら、スピードが乗ったらアンカーを回収する。
これも、兵長……あんたの技だ。
あとはその慣性に身を任せながら、体の向きや斬撃の方向は無理矢理全身の筋肉を使って思うように全てを操る。
――――一体目。
間抜けな面をした大型の巨人の項を、一撃で削いだ。
その巨体が倒れる前に、次の巨人に向かってアンカーを放つ。ワイヤーを巻き取りながら移動するその時に見た西側の兵長は、既に5体仕留め終わっている。
「――――速すぎだろ……っ!!ははっ……!やっぱ……すげぇ!!!」
――――本当に兵長ならやれる。
あの獣の巨人も。超大型も。
この人は―――――なんだってねじ伏せる力と、仲間を想う優しさを持ってる。
―――――ついていくんだ。ずっと。