第14章 疎通 ※
リヴァイ兵士長の言葉を聞いて、彼は自分の中のアルルを思い返すように瞳に涙を浮かべた。
「アルルはっ…………出立前日も、ご両親を……自分が守るのだと……話して、くれました………っ。私も………彼女にたくさん救われて………っ………。強く、優しい彼女のことを、私も……っ………一生忘れませんっ………!」
彼は遺品に目線を落とすと、蹲って大きな声で嗚咽をあげた。その肩をさすろうとした私の手をリヴァイ兵士長が止め、行くぞ、と顎で出口を差した。
私たちができることは、これ以上何もないんだ。
泣き叫ぶその人に私は深く深くお辞儀をして、あとからあとから流れ落ちる涙を拭いながら足早に避難所を出た。
すっかり日は暮れ、曇天だった空からはとめどなく雨が降り注いでいた。
「ちっ…………降ってきやがったか………。」
「…………。」
「雨脚が強くなる。……止みそうにはねぇな……。ナナ、宿を探すぞ。」
「………はい………。」