第14章 疎通 ※
「これは……彼女の遺品です……。」
私はアルルのお父様の両手を持ち、遺品を手渡した。
しばらく無言でそれらを見つめた彼は、顔を上げて私とリヴァイ兵士長を見て口を開いた。
「………あなた方は、生きて………帰ってきたのですか………?」
その瞳の奥に仄かに宿った憎悪に、私はビクッと身体が震えた。
「い、いえ私は…………。」
「私の……!娘は死んだのに………!」
彼の手が、私の肩を掴んだその時、その手をリヴァイ兵士長が制した。
「こいつはまだ壁外へ出られるような兵士じゃない。」
アルルのお父様はリヴァイ兵士長を刺すような視線で見つめる。
「兵士長のリヴァイだ。アルル・ザガートを含め、兵の配置や指揮をした。」
「リヴァイ………兵士長………。アルルからの手紙で………とても強い人だと………。………じゃあなぜ!!アルルを守ってくれなかった!!!!!!」
彼はリヴァイ兵士長の両腕をつかみ、どこにもやれない怒りや悲しみをぶつけた。
「あんたは勘違いしている。アルル・ザガートは、誰かに守られなければならないような兵士ではない。勇敢で行動力があり、自身の班長と班員3人の命を救った。――――――最後まで、誰かを守るために、戦い、散った。立派な兵士だ。」