第156章 ウォール・マリア最終奪還作戦③
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ここにいる兵士達全ての心臓を根こそぎ、私が無理矢理捧げさせる。
――――死にたくないだろう、怖いだろう。
調査兵団に入ったことを――――、私の下についた事を後悔しているかもしれない。
――――リヴァイが何かを示唆するように、ナナへの言伝がないのか尋ねてきた。
ナナが生きる気力を無くして――――……いつかの俺の戯言を真に受けて、俺の後を追ってしまうのではないかと心配なのだろう。それはそうだ、確かに……病気のこともある。精神面が大きく身体に作用したなら……あるいは……可能性はないわけじゃない。
だが、それは彼女に委ねる。
――――俺のいない世界で生きる事が苦しくて死にたいと言うなら、迎えに行く。死んでも放したくなんてないのだから――――……歓迎しよう。
だがリヴァイが帰還して、リヴァイがナナの涙を拭ってやれるなら。
ナナもそれを望み、2人が共に生きて行けるのなら。
――――少々悔しいが――――……見守るとしよう、彼女とあの不器用な人類最強の歩む行く末を。
気持ちにケリをつけて、前を向く。
獣の巨人がこちらの様子を伺っているようだ。今すぐに投石してくる気配ではない。
――――駆け出すなら、今か。
「――――行くぞ!!私に続け!!!!突撃!!!!」
私の号令により、兵士は雄叫びを上げて突撃を開始した。
――――正気の沙汰ではない。
敵からすれば恰好の的だ。
だがそれでいい。
常軌を逸した決死の様相であればあるほど、獣は気付かない。
――――忍び寄る人類最強の刃に。