第156章 ウォール・マリア最終奪還作戦③
「ミカサ!!!」
「雷槍の破片を少し受けた……。」
「血が!!」
「大丈夫浅いから……。それよりどう?」
「………え?」
「何か……反撃の糸口は………。」
――――こんな僕になにを、どうしろって言うんだ。
「――――何も……。」
僕たちの絶望を更に加速させるように、ズシン、と地が響いた。嫌な足音だ。その方向に目をやると……さっきまで倒れていたはずの鎧が……ライナーが……こちらに、近づいて来ていた。
「――――あの野郎……本当に生き返りやがった……。あいつ……どうやったら死ぬんだよ……。」
――――終わりだ。
そう、僕も思った。
けれど……昨日の夜にエレンと話したあの時の事を思い出す。そうだ、あの時言われたじゃないか。
僕は叱ってもらった。
尊敬する上官に。
『自分の無力さに打ちひしがれるのは後でいい』
『今出来る事を、あなたにしか出来ない事を考えなさい』
って。
僕が無力なのは今に始まったことじゃないだろう。
でも、僕にしか見えないものがきっとある。僕にしか出来ない事が、きっとある。僕は超大型巨人―――――ベルトルトを見上げた。絶望からじゃない。
確実に勝つために、見上げた。
「―――俺達にあれを……どうしろって言うんだよ……なぁ?アルミン……。もうエレンを逃がすことにすべてを懸けるしか……。」
「…………。」
「聞いてんのかよアルミン!」
「………痩せてる。」
――――そうだ、確実に……超大型巨人は、身を削っていた。
「超大型巨人が、少し……細くなってる。ハンジさんの言った通りだ!!やっぱり奴は消耗戦に弱い!!」