第155章 ウォール・マリア最終奪還作戦②
「――――エルヴィン団長!!」
「――――サッシュ。来たのか。補給班は?」
「ただならぬ事態と見受けて、敵の視界に入らない場所で待機命令を出しています。バリスとアーチで守らせて……新兵は俺と共に今ここに増援に来ました。」
「そうか。察してくれて助かる。壁の向こうはどうだった?」
「……超大型を中央に配し、街は火の海でした。超大型はこちらに向かっています。――――向こう側の残存兵力は……数名かと。」
エルヴィン団長は遠い目で壁の向こうの空を見上げた。
「――――そうか。……なら作戦に変更はない。リヴァイ、行けるか。」
「ああ。作戦とやらを教えろ。」
「――――俺達が正面突破で囮になる。お前は立体機動で獣に接近しろ。」
「獣の周りは更地だぞ?利用できるような木も家もねぇ。」
「――――いいや……丁度いい高さの立体物が並んで突っ立っているだろう?」
「――――まさか、団長……。」
「そのまさかだ。巨人を伝って忍び寄り、獣の巨人を奇襲しろ。」
――――本当にこの人の発想は、いつもいつも度肝を抜かれる。巨人を立体機動を使うための障害物にしようなんて、誰が考えるんだよ。
「――――ちっ……簡単に言いやがる。……了解だ。――――いいところに来た、サッシュ。てめぇは俺の片翼を務めろ。」
リヴァイ兵士長が俺に目を向けた。
「――――は……?」
「俺は西から行く。――――お前は東から行け。やれるな?サッシュ。」
――――俺にやらせてくれるのか。
任せてくれるのか。
この人類最強の片翼を。
――――憧れてやまないこの男に並べるのか。
「―――――っ……はい!!!」
「いい返事だ。」
状況から見ても、今俺たちは絶体絶命だ。
――――だがなんとかなると、この2人がいれば俺はそう思えるんだ。
それに……死なせたくない。
ナナのためにも、この人たちを失っちゃいけない。
――――俺ができることは、なんだってやってやる。