第155章 ウォール・マリア最終奪還作戦②
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ウォール・マリア壁上をシガンシナ区に向かって南下する。どうなってる?戦況は……。
「――――兄ちゃ……、サッシュ………分隊長………!」
「なんだアーチ。」
「――――砲撃音がする。」
「あ………?」
旦隊を止めて耳を澄ますと、アーチの言う通り………ドォン、ドォン、と無数の何かが破壊されるような音がしている。
「―――なんだ……?もう少し近づかねぇと状況が見えない。進むぞ!!」
慎重に壁上を進むと……シガンシナ区の中に――――とんでもなくでけぇ巨人が突っ立っている。
「………なんだ、ありゃ……あれが超大型か……?!」
「分隊長!!区外の方を!!」
「!!」
反対側には、居住地を包囲するようにして大型巨人を何体も従えている………獣のように全身を毛で覆われた巨人だ。
「――――気味悪ぃ……が、あれが親玉だな………!」
現状を見渡す限り惨状以外のなにものでもない。
そしてこれ以上近付きすぎて馬や装備の補充だと気付かれたら、一掃されて終わりだ。
――――だが、多少なりとも増援は役に立つはずだ。
「――――バリス!アーチと共にここで待機!!シガンシナ区壁上まで進む許可は信煙弾で知らせる!」
「はい!」
「――――ここも安全とは言い切れねぇ。馬と装備を死守しろ。いいな!?アーチも、頼んだぞ。」
「――――はい。」
「新兵は全員俺と来い!!壁内調査兵団の援護に向かう!!エルヴィン団長のところまで飛ぶぞ!!!」
『は、はいっ……!』
俺の指示を聞き届け、新兵達は俺の後に続いて壁伝いに戦闘場所まで向かった。
――――途中、砲撃音の意味が分かった。
あの獣の巨人が、投石により街を――――仲間を殲滅するための音だった。
「物陰に伏せろ!!!!」
なんとかその投石を物陰でやり過ごして、壁際に後退させられたエルヴィン団長とリヴァイ兵長、その他新兵の奴らと合流した。
が、その場の空気は―――――絶望的だった。
取り乱し泣き崩れる者、死の覚悟をして震える者……そして――――……何かを吹っ切れたような表情の、エルヴィン団長とリヴァイ兵長。