第155章 ウォール・マリア最終奪還作戦②
「―――すべては俺の頭の中の……子供じみた妄想に過ぎない……のか……?ナナとの夢も……彼女が夢見る世界も……すべて………。」
失意のどん底で葛藤するエルヴィンの前に、敬意を払って膝をつく。
「――――お前はよく戦った。おかげで俺達はここまで辿り着くことができた………。」
お前が選べないなら、俺が選んでやる。
そうやって今まで、やってきただろう。
それが俺の役割であり、お前の側にいる意味だ。
「俺は選ぶぞ。」
――――そうだ、俺は選ぶ。
どんなに残酷な選択でも。
唯一無二のお前を失う選択でも。
お前と共に愛したナナが―――――――
笑って生きられる未来を、守れるほうを。
――――仲間が捧げた心臓が報われる未来を諦めなくていい可能性を、遺せるほうを。
「――――夢を諦めて死んでくれ。新兵達を地獄に導け。獣の巨人は、俺が仕留める。」
―――――エルヴィンは、笑った。
なぜか………とても、嬉しそうに。