第155章 ウォール・マリア最終奪還作戦②
「もう一度だ!!雷槍を撃ち込んで止めを刺せ!!!」
ハンジさんの指示に一瞬、ジャンもコニーもサシャも………苦渋の表情を見せた。だが、その迷いを拭ったのはジャンだった。
「こうなる覚悟は済ませたはずだろ?!やるぞ!!!」
あいつらが悲痛な表情で元仲間に止めを刺すその瞬間を見て――――、ベルトルトのあの言葉が頭に蘇った。
“誰が!!人なんか殺したいと!!思うんだ!!!”
――――あぁそうか、仕方なかったんだ。
そうだろ?お前らも。なら分かってくれるよな。
俺達がお前らを殺すこともまた―――――仕方ないって。
歓声の中蒸気が流れていく。
鎧の項から―――――頭が吹っ飛んだライナーの死体がそこにはあった。
「やったぞ!!頭を吹っ飛ばした!!鎧の巨人を仕留めたぞ!!」
湧く歓声の中で、俺の同期達は――――コニーは、サシャは……泣き崩れていた。
「なに泣いてんだてめぇら?!オラ!!立て!!まだ終わっちゃいねぇぞ!!まだライナーを殺しただけだ!!」
――――コニーもサシャも、立ち上がれないほど、前が見えないほど、泣いている。
「泣くな!!俺達が殺したんだぞ!!」
ジャンのその言葉に、俺は何も感じなかった。――――ましてや涙なんて、流さない。
「まだだ!!装備を整えて次に備えろ!!」
ハンジさんが何かを警戒して指示を出す。
そうだ。例え頭を吹っ飛ばしても、しつこくまた再生する。
そういう生き物だ。
そしてそれはやはり想像通りだった。
―――何度後悔しても足りない。
あの時……頭を吹っ飛ばしただけじゃなく、ライナーの体もすべて、こいつらが俺の仲間をそうしたように―――――ぐちゃぐちゃになるまで踏みつぶしておけば良かったんだ。
「オォォォオォオオオオオ!!!」
鎧は断末魔のような叫び声をあげた。
ざわ、と全身に―――――鳥肌が立った。