第14章 疎通 ※
「ザガート?ああ……確か向こうの通りの避難所にいるんじゃないかな。」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
「ああ……だが……。」
私たちに情報を提供してくれたその中年男性は、私たちの風貌を見てまゆをひそめた。
「あんたたち、調査兵団だろ?」
「はい。」
「ザガードは、『娘が調査兵団にいるんだ』って誇らしげに話していたよ……。だが、本人でなくあんたたちが来たってことは………。」
その先の言葉を飲み込み、私たちの間には気まずい沈黙が流れた。
「今は行ってやらねぇほうがいいかもしれないぞ。」
「今、は………?」
「………亡くなったんだよ、奥さんが………。数日前の事だ。」
「―――――――――――………。」
私は無言でアルルの遺品が入ったバッグを抱きしめた。身体が震えるのを押さえることで、精一杯だった。
足が、動かない。
「……おい、行くぞ。」
そんな私をよそに、リヴァイ兵士長は避難所へと足を進める。私は心の整理がつかないまま、彼を追った。