第2章 変化
リヴァイさんの言葉の意味を理解する前に、体がふわりと浮かんだ。軽々と私の身体を肩に担ぎ、すごいスピードで知り尽くした地下街を抜けていく。
リヴァイさんの肩から頭を上げると、追手の姿が目に飛び込んできた。グレーのフード付きのマントを被り、私たちを必死で追いかけて来る。
追手の足が徐々におぼつかなくなり、瓦礫に足をとられて転んだ。フードがとれ、見覚えのあるブラウンのくせ毛が目に入った。
「ハル!?」
私は叫んだ。それを聞いたリヴァイさんは、足を止めた。
「なんだ……知り合いか………?」
「私の……世話係なんです。」
リヴァイさんはため息をついて、私を降ろしてくれた。私はハルに駆け寄った。
「ハル!!なんでここに?!」
「お嬢様!!!」
ハルは私の腕を引くと、ギュッと私を抱きしめた。
「毎月、お嬢様が決まって出て行かれることを不安に思い、尾けて参りました……。まさか地下街に行かれていたなんて………!今すぐ帰りましょう、こんなところに居ては、いけません!」
「ハル……!私は……!」
口ごもる私を見つめた後、ハルはリヴァイさんを睨み付けた。
「このような少女をかどわかし、どうするつもりですか……?!」
「………あ?」
リヴァイさんが不機嫌そうにハルを見下ろす。
「どうやって騙したのか知りませんが………目的はなんです?!お金ですか!」
「やめてハル!!リヴァイさんは、そんなんじゃない!!」
私が悪いのに。
リヴァイさんは悪くない。
大好きなリヴァイさんが、大好きなハルに罵られるのは堪らなく辛かった。
「………。」
リヴァイさんは、何か考えているようだった。ハルは懐から小袋を取り出し、リヴァイさんの足元に投げつけた。