第154章 ウォール・マリア最終奪還作戦
私の指示を受けて、兵達が一斉に配置につく。そんな中でこの戦局の鍵を握る彼らを呼び止めた。
「リヴァイ、アルミン、待て!リヴァイ班と言ったがお前だけはこっちだリヴァイ。」
「……俺にエレンではなく馬を守れと?」
「そうだ。そして隙を見て奴を討ち取れ。」
――――鎧より、超大型より、何より厄介なのはあいつだ。巨人を生み出し、操る―――――
「“獣の巨人”は、お前にしか託せない。」
「……了解した。さっき鎧のガキ一匹殺せなかった失態は……そいつの首で埋め合わせるとしよう。」
リヴァイはそう言うと、区内の馬を守る班へと合流しに飛び立った。
「アルミン。鎧の巨人用に作戦がある。」
「はい!」
「人類の命運を分ける戦局の一つ……その現場指揮はハンジと君に背負ってもらうぞ。」
アルミンにある作戦を伝えた。
――――今も私たちのいる壁上に向かって、鎧が壁をよじ登って来ている。壁を越えて、鎧は馬を確実に殲滅しておくつもりだろう。
――――ならば、それよりも優先せざるを得ない餌を――――撒いてやる。
その大きな図体が、壁上に登り切った。
その中で君は何を思う?
ライナーよ。
私を殺すか、作戦通り動くか……迷うところだな?
「――――さぁ、行け。エレン。」
鎧と私の間に殺気立った腹の内を読み合う空気が流れた瞬間、区内に閃光が走った。
――――作戦通り、エレンが巨人化した。
鎧は動揺したようにその様子を見ている。
エレンは私たちに背を向ける格好で、南の方角へと走る。
巨人化したエレンなら、壁を越えてシガンシナ区から脱し、さらにウォール・マリアを越えられる。
そしてあの獣の巨人の背後から急襲できる。
――――それがわからない君じゃないだろう?ライナー。
「――――………。」
鎧はしばらく私をじっと見て、致し方ないとでも言うように登って来た壁を降り、エレンを追った。