第154章 ウォール・マリア最終奪還作戦
「あの四足歩行型の巨人も知性を持った巨人だ。いや、もっといてもおかしくない。予想よりも、敵の規模は大きそうだ。」
その時――――、獣が地面を大きく叩いて、何かの合図を送った。すると――――2~3m級の小さな巨人が馬を集めている壁下へと一斉に駆け出した。
まず馬を狙う気だ。
敵の主目的はエレンの奪取。
その為にまず我々から撤退の選択肢を奪う。
依然巨人の領域であるウォール・マリア領から馬なしで帰還することは不可能だ。馬さえ殺してしまえば退路を閉鎖するだけで、我々の補給線は断たれる。
――――だが知っていたさ、そんなことは。
「――――馬を狙ってくるな。お前の読み通りだエルヴィン。」
「――――ああ。」
「………守っておくに越したことはねぇが……じき、サッシュの隊が来る。馬と――――予備の装備を持って。」
馬を諦めることがバレると厄介だ。
この後の別動隊がいることを察知される。――――奴らにとって小隊の一つなどひねりつぶすに容易い。
――――乗ってやろうじゃないか。
――――まずは馬を守る。
「ディルク班並びにマレーネ班は内門のクラース班と共に馬を死守せよ!!リヴァイ班並びにハンジ班は!!“鎧の巨人”を仕留めよ!!各班は指揮の下“雷槍”を使用し、なんとしても目的を果たせ!!」
――――この采配でまた、多くの仲間を死に追いやるのかもしれない。
――――私が、彼らをたった一言この指示で……殺すのかもしれない。
だが。そんなことに心は痛めてなどいられない。
人類の勝利のためならば、私は悪魔と呼ばれることだって厭わない。
「今この時!!この一戦に!!人類存続の全てが懸かっている!!今一度人類に―――――心臓を捧げよ!!!!」