第154章 ウォール・マリア最終奪還作戦
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ウォール・マリアの区外地域を囲むようにしていくつもの閃光が立て続けに放たれた。
――――巨人が生み出される時の閃光。
やがて風に流されて蒸気が消え、視界が晴れると――――………獣の巨人を中央に、何十体もの巨人が我々を包囲していた。そしておもむろに獣の巨人が近くに転がっていた大岩を―――――投げて寄越した。
「投石来るぞ!!!伏せろぉぉぉぉおお!!!」
大岩は轟音と共に私のいる壁の下……区内外を結ぶ門に着弾した。巻き上がった粉塵が落ち着いた先に目をやると―――――、そこは瓦礫の山。
奴は門を投石で破壊した。
――――これではもう、馬は通れない。
「――――逃がす気はない、ということか。我々の退路を断ち、ここで殲滅するつもりだ。」
――――生きるか、死ぬかだ。
死ぬわけにいかない。
ナナに約束した。必ず帰ると。
必ずこの世界の真実を持って帰ると。
――――なぜだろう、こんなにも血が滾るのは―――――……育て上げてきた調査兵団団長の私のプライドと、博打を好む人格がこの状況に興奮しているのか。
「――――我々は互いに望んでいる。ここで決着をつけようと。人類と巨人共。どちらが生き残り、どちらが死ぬか。」
―――――そうだ。
難しい局面ほど滾る男だったな、俺は。
――――――――――なぁ、ナナ。
なによりもまずは冷静に相手の状況を知ることだ。
鎧は起き上がり、今まさに壁をよじ登ろうとしている。
そして獣の横に……見たこともない四足歩行の巨人がいる。鞍のようなものをつけて………その背に荷物を背負っている。先ほど一斉に巨人化したものではないということだ。
ずっとあの姿でいて……我々の接近にいち早く気づき偵察の役割を果たしていたとしたら。