第154章 ウォール・マリア最終奪還作戦
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作戦中止の信煙弾が放たれたのを確認。
俺とエレンとミカサは壁上に退避、指示を待つ。何やら索敵の方法を変えるようだ。アルミンの指示か……。
「アルミン……また何か考えが……?」
ワイヤーを壁上に固定し、一定間隔で兵を配置。
壁の上部から壁をブレードで叩きながら、空洞がある場所がないかどうか捜索を開始した。――――なるほどな。壁内に潜める場所があるとは、普通発想しない。俺達は退避場所に必ず壁上を使う。壁の中であれば、壁内の様子も見渡しやすい且つ壁上の敵を狙いやすい。
乾いた風が舞う中、カンカンカンカンと壁の捜索をする音だけが響く。その瞬間、俺のいる壁上のすぐ側で音響弾が発された。
「ここだ!!ここに空洞があるぞ!!」
その声を聞き終える前に―――――俺はその声を発した兵士の元へ向かった。
「兵長?!」
その瞬間。壁の一部が外され――――、仲間の身体を刃が貫いた。
――――やりやがったな。
ライナー……ッ……!
ライナーは次に近くにいたアルレルトに目をやった。
その隙に―――――確実に殺すつもりで、その首に切り込んだ。手ごたえはあった。
ライナーの首の半分ほどに刃を突き立て、血が噴き出る。
だが相手は巨人だ。
傷などすぐに修復しやがる。
続けざまに右手に持っていた刃で心臓を貫いた。
肉と骨の一部を断つ感触。
――――殺ったか。
そう、思ったが―――――奴の目には、青白い異質の光が宿っていた。俺はライナーの腹を思い切り蹴って、地面に叩き落した。
「兵長?!」
「クソッ!!!」
常人なら――――即死だったはずだ。
「これも巨人の力か?!あと一歩……命を絶てなかった。」
地面から閃光が発された。ライナーは意識がないまま、鎧の姿に変化しやがった。
――――この閃光を機に、仕掛けてきやがるぞ。
あの―――――獣と、超大型が。
「周囲を見渡せ!!他の敵を捕捉し―――――」
エルヴィンの指示が壁上から飛んだ、その瞬間。
ウォール・マリア領地の壁内にいくつもの閃光と轟音が響いた。