第154章 ウォール・マリア最終奪還作戦
「…………勘です。」
「お前今がどういう時だかわかっているのか?!そんなただの勘にかける時間は―――――!!」
「しかし敵は!!いつだってありえない巨人の力を使って僕たちを追い込んできました!!誰でも思いつく常識の範疇に留まっていては……到底敵を上回ることはできないのです!!」
―――――――そうだ、僕は思ったんだ。
女型を捕らえるために……調査兵団の仲間のほとんどを欺いて死地に導いたエルヴィン団長を見て………強大な相手に勝つには、相手が到底想像をしないようなことすらやってのけなければならないんだと。
「――――………。」
僕の訴えを聞いたエルヴィン団長は、少し考えた後――――、作戦中止の信煙弾を放った。
「――――時に厳格に時に柔軟に、兵士の原理原則に則り最善を尽くせ。指揮系統を遵守せよ。我々は勝利するためにここに来たのだ。」
――――エルヴィン団長が僕を、信じてくれている。
こんなに背中を押されることがあるだろうか。
僕は僕のまま、僕の力で、僕のやり方で、役に立つんだ。
「再び二手に分かれ壁面の調査を!!扉の上部から入念に……捜索開始!!!!」
震える声を張り上げて指揮をする。
「――――了解!!!」
僕の一声で、多くの兵士が持ち場へと散った。