第13章 戦友
「殉職した兵士たちの………名簿もまとめ終わりました。」
「あぁ、では各ご家族には、この書面を郵送するので準備を頼む。もし何か遺品を持って帰ってきた者がいれば、届けに行かせる。外出を認めるので、そう言った申し出があった兵士は名前と日程をひかえておいてくれ。」
「………承知しました。」
扉をノックする音が聞こえた。
「エルヴィン、入るぞ。」
「ああ。」
リヴァイ兵士長だ。
帰還されてから、まともにその顔を見た。傷ひとつないその姿に、ホッとする。ふと目が合ったその瞬間、またも涙が込み上げる。
きっと私はものすごく情けない表情をしているだろう。
恥ずかしくなり、目を伏せる。リヴァイ兵士長は何事もないように、エルヴィン団長と執務の話を始めた。
その日の正午、壁外調査で殉職し、辛うじて連れ帰れた数名の遺体と、帰還したものの手遅れで死に至った兵士達の火葬が行われた。
燃え盛る炎に飲み込まれていく、かつての戦友達とそれを見つめる兵士達。
死者を弔った後は、慣れたように同室の兵士が遺品整理にとりかかる。
アルルの私物は綺麗にまとめられていた。
まるで、こうなる予感でもしていたかのように。
大事そうに古びた菓子の空き缶にしまわれた、両親からの手紙。
「………ねぇリンファ。」
「………ん?」
「アルルの遺品とこの手紙、私が……アルルのご両親に届けても、いいかな………?」
「…………うん、頼むよ。」
それっきり、会話はなかった。
ただ、小さなアルルが纏っていた服や靴、あのくせ毛を毎日梳かしていたブラシ、お気に入りの髪飾り。
それらの一つ一つを手に取るたび、彼女の思い出が頭の中を駆け巡った。
「アルル…………あなたと出会えて、良かった―――――――――――。」
ポツリと零した私の言葉に、リンファは再び涙を拭った。