第13章 戦友
食事もとらず、二人で身体を支え合い泣き続け、壁外調査からの疲れか、リンファはそのまま眠ってしまった。
私はせめて眠っている間だけでも安らかに休んで欲しくて、リンファを抱きしめたまま夜を明かした。
リンファは、2回の壁外調査で続けてルームメイトを失った。その心は、どんなものだろう。
そしてアルル―――――――――ご両親は、これからどうなってしまうのか。
私に、せめてできることは何なのか。
そして、毎回壁外調査の度に、親しい、愛しい誰かが命を落としていくのか。
その光景を目の当たりにした時、私は―――――――――
出口のない思考の渦に飲み込まれるのを避けるために、調査成果をまとめる雑務に没頭した。
壁外調査から帰還した日はシガンシナ区の宿舎に留まり、死傷者の報告とそれぞれの家族へ連絡、各々の装備の手入れや数の確認に当てられる。その翌日には調査兵団本部へ帰り、そこからようやく全員が調整日という休みになる。
ようやく調査兵団本部に戻った私たちは、みんな青くやつれたような表情だった。私はエルヴィン団長の部屋で、死傷者の情報をまとめる作業に当たっていた。死亡者の中には、アルルやリンファ程親しくはなかったものの、言葉を交わしたり手当をしたことがある兵士達の名前が並ぶ。
込み上げる涙を手の甲で拭いながら、黙々と作業をした。
「エルヴィン団長、死傷者のまとめが終わりました。総員112名の内………死者19名、重傷16名、軽傷35名………です。」
「ああ。………死亡率は、20%弱……といったところか………。」
「………はい………。」
「短時間での調査にしては、思わしくない数字だな。重傷者も16名…………。」
団を統べるエルヴィン団長が、今回の調査を数字で管理するのは当然のことだ。
だからこそ、冷静に状況を分析することができるのだろう。
でも、私には彼らの死が数字で片付けられてしまうことが酷く辛かった。