第151章 無二
「そうだ作戦は失敗するかもしれねぇ。その上お前がくたばったら後がねぇ。お前は椅子に座って頭を動かすだけで十分だ。巨人にとっちゃそれが一番迷惑な話で人類にとっちゃそれが一番いい選択のはずだ。」
「………いいや違う。一番はこの作戦に全てを懸けることに―――――」
―――――イラつくな。また俺を丸め込もうってか?
――――てめぇのことなんて嫌程わかってんだよ。
もっとも “団長らしく” 振る舞う時こそ―――――、お前の腹の中には確かに私情が絡んでるんだ。
「オイオイオイオイ待て待て。これ以上俺に建て前を使うなら、お前の両脚の骨を折る。」
「――――……建て前、か。お前もだろう?人に建て前を使うなと言うのなら……お前も兵士長じゃないリヴァイの話をしたらどうだ。――――そこが引っかかっているんだろう?」
「………あぁわかった。なら遠慮なく言わせてもらう。――――てめぇのその最近の変わり身はなんだ。死まで共にする、連れて行くと言っていたお前が――――、ナナを残しててめぇは必要以上に死に急ぐ。おかしな話だ。」
「――――………。」
「何かあるんだろう。」
「――――ナナとこの先の夢を見るために、病に伏した彼女の代わりに俺が真実を見つけに行く。ただそれだけだ。」
「――――それでお前が死んだらなんにもならねぇだろうが。」
「――――本当にそう思うか?」
「――――あ?」
「――――一度でも過ったことはないのか?俺が死ねば………ナナが自分の腕に戻って来ると。」
エルヴィンのその目は――――、いつもそうだ。
俺の中の昏く淀んだ部分を引きずり出そうとしてくる。