第151章 無二
「―――なんだ?リヴァイ。」
「気の早い話だが……ウォール・マリアを奪還した後はどうする?なにより防衛策の確立が先だと思うが……その後は……。」
「驚異の排除だ。壁の外にはどうしても我々を巨人に食わせたいと思ってる奴らがいるらしいからな。もっとも……それが何なのかは地下室に答えがあると踏んでいる。だからさっき言った通りだ。地下室に行った後に考えよう。」
「……お前がそこまで生きてるかわからねぇから聞いてんだ。その体はもう以前のようには動かせねぇ……さしずめ巨人の恰好のエサだ。」
立体機動すらままならない状態で、どうやって鎧や超大型、獣と戦り合うのか。それにエルヴィンは調査兵団の象徴だ。
なによりも兵士を導き鼓舞するという大きな――――こいつにしかできない役がある。
――――死なれちゃ、困るんだよ。
そう……死なれたら………
ナナが―――――泣くだろ。
「現場の指揮はハンジに託せ。お荷物抱えんのはまっぴらだ。お前はここで果報を待て。連中には俺がそうゴネたと説明する……いや実際そうするつもりだ。」
エルヴィンも全てわかっている。
人類にとってなにが最善か。
だが――――エルヴィンには正常な判断すら鈍らせるものが二つある。
一つはナナのこと。
もう一つはあのたぬきじじぃどもにまで見抜かれている、"この世界の真相を解き明かすこと” だ。
「――――駄目だ。エサで構わない囮に使え。指揮権の序列もこれまで通り私が駄目ならハンジ、ハンジが駄目なら次だ。確かに困難な作戦になると予想されるが人類にとって最も重要な作戦になる。そのために手は尽くしてある。全て私の発案だ。私がやらなければ成功率が下がる。」
決意の固い目だ。
―――クソが、どうしてこう弱い奴ほど無駄に意志が強いのか。
そして――――ここ数日でまた変わったな。
エルヴィンの腹の括り方が。