第13章 戦友
部屋のドアを開けると、そこにはベッドに腰かけるリンファの姿があった。
「リンファ……!良かった、無事で……!」
私はリンファに駆け寄り、リンファの前にしゃがみ込んで彼女を見上げた。その目は、暗かった。
「………どうしたの………?」
「………………。」
「ねぇ…………アルルは…………?」
暗いリンファの瞳に、涙が溢れた。
それは、全てを物語っていた。
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
「ナナ、リンファ、いるか。」
「リヴァイ兵士長………!」
「入るぞ。」
私たちは立ち上がり、リヴァイ兵士長の方へ向き直った。
「お前たちに渡すものがある。」
そう言って、リヴァイ兵士長はポケットから血まみれの自由の翼のエンブレムと、くしゃくしゃになって血にまみれた紙を取り出した。
「アルル・ザガートの遺品だ。」
「――――――――――っ…………!」
リンファは何も言わず、俯いて拳を握りしめていた。
私は震える手でその二つを受け取った。
どれだけの血を含んでいるのか。
それは、ずっしりと重かった。
「初陣であったにも関わらず、勇敢に戦った。熟練兵でも手をやく奇行種を討伐し、班長を守った。………あいつの働きで、何人もの兵士が救われた。」
「う………そ……………。」
「あぁぁあああぁ――――――っ…………!」
リンファはその場で泣き崩れ、リヴァイ兵士長は黙ったまま部屋を出て行った。
私はリンファを抱きしめ、涙を堪えることなど到底できず、そのまま泣き続けた―――――――――